Hume、音声録音への問いに確率で回答する「Audio Decision API」を発表
Hume AIは11月2日、文字起こしを介さず音声を直接解析し、「発信者は苛立っているように見えるか?」といった質問に対して「はい」と答える人間の聴取者の割合を推定するAPIを発表した。アクセスはウェイティングリスト制で、入力トークン100万個あたり0.47ドル。

音声解析を専門とするHume AIは、2026年11月2日にAudio Decision APIを発表した。録音データと日常言語での質問(「何人が話しているか?」「誰かが笑っているか?」「発信者は苛立っているように見えるか?」)を送信すると、各質問に対して確率が返されるという仕組みである。モデルは音声を直接聴き取り、口調、沈黙、発話の重複などが失われる文字起こしを介さない。
文章ではなく、数値を返す
ドキュメントが強調するのは、このAPIは回答文や説明文を作成しないという点である。Yes/Noの質問に対しては、「はい」と答える人間の聴取者の推定割合を返す。0.5に近い値は、モデルが判断を迷っているのではなく、人間でも意見が割れる可能性が高いことを意味する。選択式やスケール評価の場合は選択肢ごとの確率を返し、イベント(笑い声、物音など)については時間区間を返す(時間区間は現在実験的機能)。閾値を設定して最終的な判断を下すのは、アプリケーション側のコードの役割である。
| 項目 | Humeのドキュメントによる仕様 |
|---|---|
| 入力 | 1リクエストあたりMP3またはWAVファイル1件、5秒〜5分 |
| 質問 | 1リクエストに複数件可能、1回の推論で処理 |
| 質問の形式 | Yes/No、選択式、スケール、時間区間(実験的) |
| 料金 | 入力トークン100万個あたり0.47ドル、応答は無料 |
| アクセス | 申請制、100万トークンのトライアルクレジット付き |
告知では、「10個以上のモデル」を必要としていた処理が1回の呼び出しで済むというセールスポイントが要約されている。想定される用途は、音声エージェント(エージェントが発話を遮っていないか、自然に聞こえるかどうかの確認)、コールセンター、そして長時間の録音データの分析などである。
検証が待たれる性能データ
Humeは、1000万件以上の人間の判断で学習された同モデルが、評価者パネルと70.7%のケースで一致し(単独の人間の評価者では56.5%)、10個のテストの平均でGemini 3.8 FlashやQwen3.8-Omni-Flashを上回り、中央値レイテンシは0.23秒であると主張している。これらの結果は開発元が公表したものであり、独立した第三者によって検証されたものではない。
編集部の見方
「怒っている」というラベルを確定的な事実として提示するのではなく、人間の聴取者がどう考えるかの推定値として答えるというアプローチは理に適っている。意見が分かれ得る余地を可視化し、判断を開発者に委ねるからである。しかし、それですべてが解決するわけではない。声から感情を推し量ることには依然として脆さがあり、こうしたスコアが従業員や顧客に知らされないまま評価に利用される懸念もある。欧州では、AI Actによって医療や安全上の理由を除き、職場や教育現場での感情認識がすでに禁止されている。自社のオペレーターを分析しようとする企業は、慎重な検討が必要になるだろう。一方で、音声エージェントの評価においては、Humeの提示する数値が実環境でも維持されるのであれば、即戦力のツールとなり得る。
出典
- X上のHume AI — Introducing the Hume Audio Decision API(2026年11月2日) 一次情報
- Hume AI — Decision Model API(製品ページ) 一次情報
- Hume — コーディングエージェント向けAudio Decisionsドキュメント 一次情報
- Hume — Audio Decisions、課金 一次情報
- 人工知能に関する規則 (EU) 2024/1689(AI Act)、第5条 一次情報 — 職場および教育現場における感情認識の禁止
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