Meituanが1.6兆パラメータのマルチモーダルモデル「LongCat-2.5」を発表、コードエージェントに特化
中国のMeituanは、1.6兆パラメータ(アクティブ約480億)のMixture-of-Expertsモデル「LongCat-2.5」を発表した。完全国産(中国製)チップで学習された同モデルは、コードエージェントや画像からのプログラミング向けに設計されている。API経由で提供され、キャンペーン価格として入力100万トークンあたり0.30ドル、出力1.20ドルで利用可能だが、現時点でモデル重みの公開は告知されていない。

中国のフードデリバリー大手Meituanは、新型の大規模モデルLongCat-2.5を発表した。総パラメータ数1.6兆のMixture-of-Experts(MoE)モデルであり、各トークンに対して約480億パラメータがアクティブ化される。長時間のタスクを自律的に遂行するコードエージェントや、画像からのプログラミング向けに設計されている。Meituanは、同モデルが完全に中国製チップ上で学習された点を強調している。モデルはlongcat.aiおよびAPI経由で利用可能で、キャンペーン価格として入力100万トークンあたり0.30ドル、出力1.20ドルに設定されている。現時点でモデル重みの公開は発表されていない。
プレビュー版からの変更点
LongCat-2.5は、9月25日に公開されたLongCat-2.5-Previewの正式版である。開発チームのブログは11月1日付、APIの変更履歴は11月2日付となっている。本モデルは6月にリリースされたLongCat-2.0をベースにしており、2つの主要な強化軸を持つ。
1つ目はネイティブビジョンだ。画像は単語と同様に離散トークンへと分割され、独立したビジョンモジュールを介さずにテキストと同一のモデルで処理される。Meituanはこの機能を、デザインカンプからのウェブページ再現、3Dのインタラクティブページや可視化画面の生成といった「ビジュアルプログラミング」に活用している。
2つ目は長時間の自律的エージェント動作である。開発チームは、テストによって自動検証されたGitHubのプルリクエスト課題を用いて、強化学習を実施した。また、エージェントが現場で直面した失敗事例を新たなトレーニング課題に変換しているとも説明している。学習時の不正(カンニング)を防ぐため、これらのタスク実行中はネットワークアクセスが遮断され、gitのコミット履歴も削除されている。変更履歴では、Claude Code、Codex、Hermesとの互換性が謳われている。
Meituan発表のスコアはClaude Opus 5に肉薄
公式ブログには約30項目の評価テスト結果が掲載されている。これらの数値によると、LongCat-2.5はTerminal Bench v2.1で88.4を記録し、Claude Opus 5の89.1に迫った。BrowseCompでは91.9となり、Opus 5の90.8を上回っている。一方で、Terminal Benchのバージョン4.0では38.5にとどまり、Opus 5の53.9に大きく水をあけられている。Meituanのプレスリリースでは、総合的な性能はClaude Opus 4.8とClaude Opus 5の間に位置し、一部のテストではOpus 5を凌駕したと総括されている。なお、複数のコーディングベンチマークではDeepSeek-V4.1-Flashのほうが優れており、例えばTerminal Bench v2.1では90.6、DeepSWEではLongCat-2.5の64.6に対して74.2を記録している。
中国製チップという論点
Meituanはハードウェア面での成果を前面に押し出している。使用されたチップはそれぞれメモリ容量が80GB未満であり、計算処理の分散構成を再構築する必要があったという。ブログによれば、長文タスクにおけるチップあたりの学習スループットは86%向上した。モデルの推論提供にあたっては、各エキスパートの重みとアクティベーションが4ビットに量子化されている。公開された負荷テストの結果によると、これにより8ビット版と比べてスループットが約43%向上したとされる。
編集部の見方
LongCat-2.5の登場は、従来のAI専門研究所にとどまらず、フードデリバリー大手のような中国の巨大プラットフォーマーが、米国製チップに頼ることなく最前線レベルのエージェントモデルを構築できる能力を有していることを実証した。ベンチマークの数値以上に、この事実こそが最も注目すべき点だ。ただし、スコアそのものについては慎重に見る必要がある。これらはすべてMeituan自身による発表であり、競合モデルの結果の一部も自社測定されたものであるうえ、比較対象はすでに後継モデルが稼働しているClaude Opus 5やGPT-5.6 Solで止まっている。設定されたAPI利用料は極めて安価だが、あくまで期間限定の価格とされている。開発者にとっては、過去のLongCatシリーズの一部で実施されていたオープンな重みの公開がまだない点がネックとなる。重みが提供されない限り、ローカル環境での実行や独立した第三者による性能検証は不可能である。
出典
- LongCat (Meituan) — Introducing LongCat-2.5 一次情報
- LongCat API Docs — 変更履歴 (バージョン 2026-11-02) 一次情報
- LongCat API Docs — LongCat-2.5の価格 一次情報
- Meituan — 美団がLongCat-2.5大規模モデルを発表(経済観察報の転載リリース) 一次情報
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