SarvamがSarvam 105Bベースのオープンウェイト意思決定モデル「Prism」を公開
インドのAI研究開発企業Sarvamは11月3日、テキスト生成を行わず意思決定の各選択肢に確率を割り当てるモデル「Prism」を公開した。重みはApache 2.0ライセンスで提供され、APIは入力100万トークンあたり4ルピーで利用できる。

インドのAI研究開発企業Sarvamは2026年11月3日、特殊なタイプのモデルPrismを公開した。このモデルは文章を一切生成しない。状況(顧客サポートのチケット、エージェントのログ、受信メッセージなど)、1つ以上の質問、そして想定される選択肢のリストを与えると、わずか1回の計算パスで各選択肢の確率を出力する。重みはHugging Face上でApache 2.0ライセンスのもと公開されており、SarvamのAPI経由でも提供されている。
「書く」のではなく「選ぶ」モデル
SarvamはPrismを、ダニエル・カーネマンが提唱した素早く直感的な思考にちなんで「システム1」意思決定モデルに分類している。同社のブログ記事によると、このカテゴリーは前月にTypefaceがJevモデルで切り開いたものだという。この発想は、Hume AIが11月2日に発表したAudio Decision APIとも共通している。後から解釈が必要な自由形式のテキストで応答するのではなく、プログラム側で閾値を設定できる数値を直接返す仕組みだ。
技術的には、Prismは同社の大規模Mixture-of-Experts(MoE)モデルであるSarvam 105BのLoRAファインチューニングである。トークンを1つずつ生成する代わりに、小型のヘッドが確率を直接算出する。また、Sarvamはアテンションマスクにも手を加えている。各選択肢が他から独立して読み取られるため、個別の判定が相互に影響しない。モデルは、選択肢からの選択、Yes/No形式、段階評価スケールの3種類の質問形式に対応している。
| 項目 | Sarvamによる公開情報 |
|---|---|
| ベースモデル | Sarvam 105B、LoRAファインチューニング |
| ライセンス | Apache 2.0、Hugging Faceにて重み公開 |
| ハードウェア要件 | 約120GBメモリを搭載したFP8対応GPU(B200、H200) |
| 対応言語 | 英語、インド系言語10種、ヒングリッシュ |
| API料金 | 入力100万トークンあたり4ルピー、出力無料 |
| API制限 | 1問あたり32,768トークン |
開発元による測定パフォーマンス
Sarvamによると、Prismは3つの指標の平均で71.8を記録し、B200 GPU上での応答時間の中央値は44ミリ秒に達したという。これは同社が評価した25モデル中、応答時間100ミリ秒未満の意思決定モデルの中でトップのスコアである。同比較表によれば、スコアで上回るモデルも一部存在するものの、応答時間は2倍から6倍遅い。なお、これらの測定はSarvam自身が実施したものであり、3つの指標のうち1つはインド系言語の社内テスト、もう1つはArtificial Analysisの意思決定指標を独自に再現したものである。
開発元が特に強調しているのはキャリブレーションの精度だ。英語において、信頼度90%以上で出力された回答では、予測誤差3.3%に対して実際の誤差は2.2%にとどまった。インド系言語では、テストされた他のモデルが自身の信頼度予測よりも2.7〜4.8倍多くの誤りを犯したという。さらにSarvamは、選択肢の順序をシャッフルしても回答がブレず、エージェントのログ判定においてもClaude Haiku 5.5を上回った(正答率78.5%対70.7%)と主張している。ただし、これらの結果はいずれも第三者によって再現確認されていない。
編集部の見方
Prismは大規模な対話型モデルと競合するものではない。分類、ルーティング、ガードレール、あるいはエージェントの処理結果の検証を目的としたインフラコンポーネントである。この領域では、単なるベンチマークスコア以上にキャリブレーションの正確さが重要となる。企業が意思決定を自動化できるのは、提示された信頼度スコアを真に信頼できる場合に限られるからだ。重みがApache 2.0で公開された点は極めて強力な強みであり、誰もがこれらの数値を検証し、自社データに合わせて調整できる。もっとも、自己ホストの導入ハードルは依然として高い。約120GBのメモリを備えた最新世代のGPUと、Sarvam提供の独自コードが必要となるためだ。バンガロールを拠点とする同社にとって、このモデルは最大の強みとしてアピールするインド系言語市場での地盤を固める一手でもある。
出典
- Sarvam AI — Introducing Sarvam Prism(2026年11月3日) 一次情報
- X上のSarvam AI — Sarvam Prismの発表(2026年11月3日) 一次情報
- Hugging Face — sarvamai/prism モデルカード 一次情報
- Sarvam APIドキュメント — Sarvam Prism 一次情報
- X上のHume AI — Introducing the Hume Audio Decision API(2026年11月2日) 一次情報 — 確率で応答する他のモデルとの比較のため
一次情報とは、当該企業・研究所・団体が直接発信した情報です。二次情報は、発信元ではない媒体が伝えた情報で、その旨を明記しています。誤りを見つけたら訂正方針をご覧ください。


