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Nous Research、中国政府の公式見解への追従を排除すべく再学習したQwen3.8-27B派生モデル「Arete-27B」を公開

Nous Researchは、中国政府の公式見解に沿った回答を抑制するため、約5300万トークンで微調整を施したQwen3.8-27B派生モデル「Arete-27B」の重みを公開した。同研究所は803問からなる評価ベンチマークおよび学習データもあわせて公開している。

柔らかな光の中、霧に包まれた谷と澄んだ谷を隔てる、彫刻のような石の稜線とガラスの谷。
AI生成イラスト

Nous Researchは2026年11月6日、AlibabaのオープンウェイトモデルであるQwen3.8-27Bを再学習した新モデルArete-27Bを公開した。同研究所が政治的に機微な話題で確認したとする、回答の拒否、論点のすり替え、および中国公式見解をなぞる回答の抑制が開発目的として掲げられている。モデルの重みは学習データや評価データとともに、Apache 2.0ライセンスのもとHugging Faceで公開されている。

Nousによる測定内容

Nousは学習に先立ち、7つのカテゴリ(表現の自由、国家イデオロギー、国家と市場、教育、プライバシーと監視、民主主義、環境)にわたる803問のテストセットを構築した。各質問には日付入りのソース記事が紐づけられており、回答に含まれるべき2〜4個の期待される事実と、当該テーマに関する中国共産党の公式見解の言い回しが抽出されている。

自動ジャッジ(Grok 4.7)は各回答を検証し、事実が提示されているか、省略されているか、あるいは矛盾しているかを判定する。また、公式見解を自身の見解として採用している文章はすべて一字一句引用することが義務付けられている。単に公式見解として言及している場合(例:「党は〜と説明している」など)は該当と見なされない。ジャッジモデルは手作業で採点された25問を用いてキャリブレーションされ、評価基準の改訂が3度行われた。

このテストにおいて、Qwen3.8-27Bは回答の22%で公式見解を踏襲していたのに対し、GLM 5.3は15%、DeepSeek V4.1 Flashは16%であった。検証対象となった欧米発のモデル(Mistral Large 4、Gemma 4 31B、Nemotron 3 Ultra、Muse Glimmer 30B)およびInklingはいずれも1%未満にとどまった。

モデル改変の手法

採用された手法は極めてシンプルである。約5280万トークンを用いた教師あり微調整(SFT)、データセットの2エポック周回のみであり、強化学習や選好最適化の工程は含まれず、アーキテクチャの変更もない。模範回答の生成にはThinking MachinesのオープンモデルであるInklingが使用された。Nousの説明によると、当初はNemotron 3 Ultraの活用も検討されたが、独自の測定で中国に関する回答に偏りが見られたため見送られたという。同研究所は中国製モデル由来のデータ混入を推測しているが、実証はなされていない。

学習用として約2万問の設問が生成され、評価セットとの重複を排除するためのフィルタリングが実施された。公開されたデータセットには2万8886件の学習サンプルが含まれているとブログには記載されている。

公表された結果

Nousによると、Arete-27Bにおいて公式見解に沿った回答の割合は約1%まで低下し、事実正確性スコアは5点満点中2.32から2.98へと向上した。最も顕著な変化が見られたのは表現の自由の分野であり、公式見解に沿った回答が60%から1%へと激減した。一般的な処理能力については、同研究所独自のHermes Benchでベースモデルの65.77%に対して65.60%、独自設定で測定したTerminal-Bench-2.1で67%に対して70%を記録したと発表されている。ただし、これらは同研究所自身が設計し、別のモデルに判定させたテストによる独自値である。

編集部の見方

Arete-27Bの重要性は、モデル自体の性能よりも公開された手法にある。オープンな評価テスト、オープンなデータセット、そして27B規模のモデルとしては極めて低い微調整コストが示された点だ。これは、オープンウェイトモデルに組み込まれた政治的振る舞いが、限られたリソースでも方向性を問わず書き換え可能であることを物語っている。「西洋的価値観」という枠組みはNous独自のものであり、ジャッジモデルも教師モデルもそれ自体が特定の設計思想を帯びている。これを確かな知見と見なす前に、中国以外のトピックも含め、第三者のチームによる再現検証を待つ必要がある。実環境での運用において問われるべきは「どちらの陣営か」ではなく、「どのような振る舞いを、いかに測定するか」であり、本テストはまさに各モデルの挙動を自ら検証するための枠組みを提供している。

出典

  1. Nous Research — Introducing Arete-27B(研究ブログ) 一次情報
  2. Hugging Face — NousResearch/Arete-27B(重み、Apache 2.0ライセンス) 一次情報
  3. Hugging Face — NousResearch/arete-data-pairs(学習データ) 一次情報
  4. Nous ResearchのXアカウント — Arete-27B発表投稿(2026年11月6日) 一次情報

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