開発・コード

Revolut、自社運用のGLMモデルを2,000人のエンジニアの標準コーディングツールに採用

ネオバンクのRevolutは、約2,000人のエンジニア向けに56基のNvidia B200 GPUでGLM-5.3を運用しており、AnthropicやOpenAIを利用する場合と比べて費用が10分の1に抑えられていると説明している。Claude CodeやCodexも引き続き利用されているが、例外的な位置づけにとどまる。

洗練された空間に立つ光る黒いモノリスと、床一面に幾何学模様を描きながら広がる無数の光ファイバーケーブル。
AI生成イラスト

ネオバンクのRevolutは、自社でホストするオープンモデルを開発者向けの標準コーディングツールに設定した。AI運用責任者のDavid Abitbolが10月にニューヨークで開催されたAI Engineerカンファレンスで説明し、The Registerが2026年11月3日にその講演内容を取り上げた。Revolutは、中国の研究所Z.aiのモデルであるGLM-5.3を、56基のNvidia B200 GPUを用いて約2,000人のエンジニアに提供している。コーディング向けのAI費用は、AnthropicやOpenAIを利用する場合と比較して10分の1に抑えられているという。

予算制限からトークン使い放題へ

David Abitbolの説明によると、Revolutはまず2025年初頭にGeminiへのアクセスを提供し、その後Claude Codeを大規模に導入したが、厳格な予算上限を設けていた。一部のエンジニアは明確な見返りがないまま「月額1,000ドル、月額1万ドル」を費やしていた。そこで同社は2026年4月頃、オープンモデルの自社運用を開始し、まずGLM-5.1、続いてGLM-5.3を採用した。平均コストは100万トークンあたり約30セントまで低下し、請求額は固定化され、月末に予想外の請求に悩まされることもなくなった。

彼によれば、最大のメリットはコーディングそのものから得られたわけではない。トークンが無制限になったことで、エンジニアはデバッグ、Jiraチケット、Confluenceのドキュメント作成にもモデルを活用するようになった。Revolutの測定では、コーディング時間が60%短縮され、リリースまでの期間が70%短縮された。これらは社内数値であり、制限撤廃の時期と一致しているため、モデル自体の性能によるものがどれだけあるかを判断するのは難しい。Claude CodeやCodexが完全に消えたわけではなく、「フロンティアモデルは例外的な存在となり」、極めて難易度の高いタスク専用に維持されている。

鍵を握るパラメータ設定

この講演は主に技術的な導入事例の共有となっている。

パラメータ Revolutの選択
モデル GLM-5.3、テキスト専用
ハードウェア 2,000人のエンジニアに対し約56基のNvidia B200
レイテンシ目標 最初のトークンまで3秒未満
スループット 約200トークン/秒(夜間は約800)
コンテキスト 100万ではなく25万6,000トークン
量子化 Blackwell GPU上のFP4
画像 他のモデルにルーティング

「長いコンテキストは詐欺のようなものだ」とDavid Abitbolは総括する。モデル自体が100万トークンを処理できるとしても、25万6,000トークンで十分だという。同氏によると、4月から8月の間に、ハードウェアを追加することなくチューニングを進めたことで、需要が大幅に急増したにもかかわらず、最初のトークン生成までの時間は同じGPU台数のままで約10秒から1.6秒に短縮された。エンドポイントはOpenAI APIと互換性があり、OpenCodeやCodex内で利用できる。

欧州の規制を受ける銀行として、同氏は2つのセーフガードを重視している。人間がアクションを承認することを保証するサンドボックスと、インシデント発生時の詳細なログ記録である。中国製モデルについては、リスクは中国国内でホストされるAPIに起因するものであり、重み(ウェイト)をダウンロードして米国や欧州のサーバー上で実行する場合には当てはまらないとの見解を示している。

編集部の見方

Revolutの事例は、大企業においてコーディングエージェントの経済性がスケールによって変化することを示している。ヘビーユーザーが数千人規模を超えると、GPUをレンタルしてオープンモデルを運用する方が、アカウントごとのサブスクリプションよりも大幅に安価になる可能性がある。ただし、この運用には推論を最適化できる専門チームが必要であり、56基のB200を確保することはすべての企業に可能な手段ではない。公表された生産性向上データについては、トークンが無制限になったことによる効果を主に測定している点に留意が必要だ。AnthropicやOpenAIにとって、難関タスクでは依然として自社モデルが選ばれているとはいえ、日常的な処理ボリュームがオープンモデルへ流出しかねないという厳しいシグナルとなっている。

出典

  1. AI Engineer — 「Shipping like a startup, regulated like a bank」文字起こし、David Abitbol(AI Engineer NYC 2026) 一次情報
  2. AI Engineer — Revolut講演ページ 一次情報
  3. The Register — British fintech Revolut slashes AI coding costs 10x by cutting out Claude and going self-hosted(2026年11月3日) 二次情報

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