モデル・研究所

Ant LingがLing-3.2-flashを公開、560BのネイティブマルチモーダルMoEと1Mコンテキストを搭載

Ant GroupがLing-3.2-flashを発表。総パラメータ数560B/アクティブ25B、1MコンテキストのMoEで、画像・テキスト・動画のネイティブマルチモーダルに対応。OpenAIおよびAnthropic互換APIを提供し、リリース後最初の2週間は無料となる。

巨大な水晶のプリズムが、暗闇の中で複数の色光の筋を1つの強力な光線へと収束させている。
AI生成イラスト

Ant GroupのモデルプラットフォームであるAnt Lingは、2026年11月5日にネイティブマルチモーダルのMixture-of-ExpertsであるLing-3.2-flashを発表した。この告知は11月5日付で公式アカウント@AntLingAGIから投稿され、開発者向けチェンジログでも同日付であることが確認されている。本モデルはLing-3.1-flash-1019の基本構成を引き継ぎ、総パラメータ数5600億、アクティブ250億、コンテキスト1Mを備えるが、外部ビジョンモジュールに依存せず、アーキテクチャに直接統合された画像+テキスト+動画の入力に対応している。

4つの注力領域、オープンなAPI、2週間の無料提供

モデル詳細ページでは、複雑な視覚理解、長期ホライズンを担うマルチモーダルエージェント、3Dの理解とインタラクション、そして医療マルチモーダル(画像処理や診断レポートの読解だが、自律的な臨床ツールではなく専門家の分析支援として位置づけられている)の4領域が強調されている。

アクセス面では、Ling-3.2-flashはオンラインチャットおよびOpenAIおよびAnthropic互換のAPI経由で利用できる。チェンジログと価格ページには、リリース後最初の2週間は無料で提供され、その後は「通常価格」に戻ると記載されている。ただし、11月6日時点で閲覧したページにはLing-3.2-flashの通常価格は記載されておらず、現時点でその金額を把握することはできない。

Ling-3.1の後継、モデルの重みは(現時点では)非公開

Ling-3.1-flash-1019はMITライセンスの下で公開されており、当メディアも10月に報じた。しかしLing-3.2-flashについては、11月6日時点でチェンジログにもモデルドキュメントにも重みの公開に関する予告はなく、モデルはAPIおよびチャット形式でのみ提供されている。より小型(124B/アクティブ5.5B)のLing-3.0-flash-VLが、同ドキュメント内で参照されるオープンなマルチモーダルモデルとしての位置づけを維持している。

またAnt LingはX上で、OmniDocBench 1.5、ZEROBench(Sub)、Vision2Webにおいて「Opus 5 (max)」を上回るスコアを記録したと主張している。これらは開発元による公表値であり、本稿執筆時点で第三者による検証は行われていない。

編集部の見方

Ling-3.2-flashはLing-3.1-flashを置き換えるというよりも、その機能を補完するモデルだ。MoEの規模や100万トークンという枠組みはそのままに、画像と動画の処理がネイティブ化されている。医療用途については臨床面での詳細が明かされておらず、医療機器ではなく開発元が主張する能力の一つとして捉えるべきである。前世代との最大の相違点はオープン性にある。AntはLing-3.1-flash-1019をMITライセンスで提供したが、3.2はまず期間限定無料のAPIとして登場した。開発者にとって、この2週間はネイティブマルチモーダルの挙動を試す絶好の機会となる。ただし費用対効果を正しく評価するには、実際の正規料金の提示と、現時点では告知されていないモデル重みの公開を待つ必要がある。

出典

  1. Ant Ling — チェンジログ(2026年11月5日) 一次情報
  2. Ant Ling — Lingモデルドキュメント 一次情報
  3. Ant Ling — 製品サイト 一次情報
  4. Ant Ling (X) — Ling-3.2-flash発表 一次情報
  5. Ant Ling — 価格情報 一次情報 — 2週間の無料提供を確認。プロモーション後のLing-3.2-flash向け料金は未掲載
  6. Hugging Face — inclusionAI/Ling-3.1-flash-1019 二次情報 — 背景情報:10月27日にMITライセンスでオープンソース化された前世代モデル

一次情報とは、当該企業・研究所・団体が直接発信した情報です。二次情報は、発信元ではない媒体が伝えた情報で、その旨を明記しています。誤りを見つけたら訂正方針をご覧ください。