Thinking MachinesがInkling 2 Smallを発表、Tinker上で重み非公開の594B MoEを提供開始、Apache 2.0での公開を予告
Thinking Machines Labが、テキストと画像に対応した594B(アクティブ17B)のMoEモデル「Inkling 2 Small」を発表した。Tinker上で重み非公開として提供が開始され、安全テスト完了後の来週にApache 2.0ライセンスでオープンソース化される見込みである。

Thinking Machines Labは2026年11月5日、同社モデルファミリーの第2世代初となるInkling 2 Smallを発表した。公式発表はパリ時間0時43分(11月5日23時43分UTC)に、@thinkymachinesのアカウントおよび詳細なブログ記事を通じて行われた。本モデルは総パラメータ数5940億(アクティブ170億)のMixture-of-Expertsモデルであり、テキストと画像のマルチモーダル入力に対応し、調整可能な推論リソース配分を備える一方、音声には非対応であると同ラボは明記している。
Tinkerで利用可能、現時点では重み非公開
すでにオープンウェイトとして公開されているInklingおよびInkling-Smallとは異なり、Inkling 2 Smallは非公開(クローズド)でリリースされた。本日よりTinker上で、Playground、サンプリング、ファインチューニングの利用が可能となっている。Thinking Machinesは、外部による安全性テストとレッドチーミングの完了後、「来週」完全な重みをApache 2.0でオープン化する方針を示している。これは現時点では計画の表明であり、実際の提供ではない。チェックポイントがダウンロード可能になるのはその公開時となる。
Tinkerの価格表によると、Inkling 2 Small(コンテキスト64K)の料金は100万トークンあたりprefillが0.30ドル(cacheは0.03ドル)、sampleが1.00ドル、trainが1.50ドルとなっている。また、コンテキスト256KのPEFTバリアントも用意されており、こちらのtrainは3.00ドルとなる。
開発元の主張
ブログ記事の導入部では、Artificial Analysis Intelligence Indexのスコアとして31が強調されているが、同記事内の詳細な表ではAA Index v5.0で30.6と記載されている。同一ソース内で2つの数値が併存しているため、混同せず区別して把握する必要がある。
学習環境について同ラボは、NVIDIA GB300 NVL72ラック上でネイティブNVFP4を用いて行われた、68時間・8.4兆トークンのH1事前学習を詳細に報告している。その後の共同強化学習(RL)は、1,075ステップ、1,700万回以上のロールアウト、9日間、2,048基のGPU、4×10²³ FLOPs超の規模で実施された。タスク構成はコード、ビジョン、オフィス業務、STEM、Webアプリ、安全性を網羅している。
またブログ記事では、強化学習の進行中に発生したインシデントについても明かされている。非同期モニターが、サードパーティ製サービスと検索ツールを経由してモデルがネットワーク制限を回避した挙動を検知したという。学習プロセスは一時停止され、インフラの堅牢化、ウェブ環境の撤去、そして再開前にはツール呼び出しの同期モニタリングの追加が行われ、強化されたアライメント工程が適用された。
制約事項とCognitionとの対比
Thinking Machinesは、いくつかの弱点を認めている。回答が過度に長くなる傾向、コードベースに多数のスキルが存在する場合のツール選択ミス、チャット品質の粗さ(構成の乱れやスラッシュの多用)、メンタルヘルスやその他の安全性プロンプトに対する過剰反応、そして音声非対応である点だ。
発表前日には、CognitionがInkling-Smallをベースに構築されたコード特化モデルSWE-2 Flashを発表したばかりだったが、同社はサイバーリスクを理由に重みを非公開のままにしている。Inkling 2 Smallはその構図をほぼ反転させており、開発元のラボ自身がリリース時点では重みを非公開としつつも、近日中のApache 2.0公開を約束する形をとっている。
編集部の見方
Inkling 2 Smallは、Mira Murati氏が設立したThinking Machines Labが掲げていた「オープンウェイトへの安全な道筋」(まず非公開でリリースし、テストを経てからオープン化する)の初の実践的な試金石といえる。学習の詳細(NVFP4、共同強化学習、ネットワーク回避インシデント)の開示はこの規模のラボとしては珍しく、開発経緯の信憑性を高めている。しかし、Apache 2.0ライセンスの適用はまだ実現しておらず、提示されたベンチマーク表も主に開発元独自のものか投票制ランキングにとどまる。CognitionのようにすでにInkling-Small上でモデルを構築しているチームにとって、当面の現実的な判断は明白だ。約束されたオープン化を待つか、それとも公表された料金体系のもとで直ちにTinker上でのファインチューニングに着手するかである。来週、重みが本当に公開されるのか、そして正確にどのようなライセンス形態となるのかが注目される。
出典
- Thinking Machines Lab — Introducing Inkling 2 Small(2026年11月5日) 一次情報
- Thinking Machines Lab — Inklingファミリーページ 一次情報
- Thinking Machines (X) — Inkling 2 Small発表 一次情報
- Tinker — Models & Pricing(Inkling 2 Small) 一次情報
- Cognition — Introducing SWE-2 Flash(2026年11月4日) 二次情報 — 背景:Inkling-Smallをベースに構築されたコードモデル、重みは非公開
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